地域医療構想を3つのキーワードで読み解く(1)-都道府県はどこに向かおうとしているのか

要旨 団塊の世代が75歳以上を迎える2025年に向けて、地域の医療提供体制を構築するための議論が現在、都道府県を中心に進んでいる。これは2017年3月までに各都道府県が医療計画の一部として策定した「地域医療構想」に基づいた議論であり、各都道府県は地域の医師会や医療関係者、介護従事者、市町村、住民などと連携・協力しつつ、地域の特性に応じて急性期の病床削減や回復期病床の充実、在宅医療等の整備などを進めることが求められている。 しかし、地域医療構想の目的はあいまいである。国は表面上、「病床削減による医療費適正化」の目的を否定しつつ、介護や福祉との連携を意識した「切れ目のない提供体制の構築」を重視しているが、経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)や財政当局は医療費適正化策の一環として位置付けており、「病床削減による医療費適正化」「切れ目のない提供体制構築」という2つの目的が混在している中、国と都道府県の間で認識ギャップが見られる。 本レポートは全4回で地域医療構想の制度化プロセス、都道府県の対応を検証することで、地域医療構想を読み解くことを目的とする。第1回は地域医療構想を読み解く総論として、(1)病床削減による医療費適正化、(2)切れ目のない提供体制構築―という2つの目的が混在している点を検討した上で、国の議論が(1)に傾いていることを指摘するほか、各都道府県が策定した地域医療構想の文言を検証することを通じて、都道府県が(1)よりも(2)を重視している点を考察する。こうした検証を通じて、都道府県が向かっている方向性が明確になるほか、政策の目的について、国と都道府県の間で認識ギ

夜間見守り介護ロボット導入の施設に報酬加算へ

介護の現場で人手不足が深刻化する中、厚生労働省は、夜間に職員を配置した場合の介護報酬の加算について条件を緩和し、いわゆる介護ロボットの1つで、夜間に高齢者を見守るシステムを導入した場合は、配置する職員が基準をやや下回る施設でも対象とする方針を固めました。 介護の現場では体力的な負担が大きいとして仕事を辞める職員が相次いでいて、いかに負担を減らし職場に定着してもらうかが大きな課題となっています。 これについて厚生労働省は、来年4月に行われる介護報酬の改定で、職員の負担を軽減するために夜間の見守りシステムを導入した施設について、介護報酬を加算する条件を緩和する方針を固めました。 新たに対象となるのは、高齢者がベッドから落ちそうになったり、はいかいしたりした場合、センサーが感知して知らせる機器などを入所者数の15%以上の数設置した施設のうち、配置する職員が基準を1割下回る施設です。 一方、高齢者を抱え上げる作業などを手助けする機器は、職員の業務時間の短縮にどこまでつながるか見極めた上で加算の対象にすべきか検討することにしています。 介護労働安定センターの調査によりますと、見守りシステムなどのいわゆる介護ロボットを導入している施設は去年の時点で全体のおよそ2割にとどまり、多くの施設は、予算がないため導入できないとしています。 厚生労働省はこうした方針を来週開かれる審議会で示したうえで加算の金額などを検討することにしています。 見守りシステム導入の施設では およそ70人の高齢者が入所する千葉県船橋市の特別養護老人ホームでは、去年3月、いわゆる介護ロボットの1つでベッド

地域や自宅で医療や介護 診療報酬改定の基本方針骨子案 厚労省

厚生労働省は、来年度の診療報酬の改定にあたって、住み慣れた地域や自宅でできるだけ医療や介護を受けられる仕組みの構築などを掲げた基本方針の骨子案を、社会保障審議会の部会に示し、来月上旬に基本方針をまとめることにしています。 来年度の診療報酬改定の基本方針の骨子案は、住み慣れた地域や自宅でできるだけ医療や介護を受けられる「地域包括ケアシステム」を構築するとしています。 また、離れた場所の患者を診察する「遠隔診療」などの新しい技術を積極的に取り入れることや、医療費の削減に向けて、価格の安い後発医薬品、いわゆるジェネリックの使用を増やすことなども掲げています。 厚生労働省は、この骨子案を24日開かれた社会保障審議会の部会に示し、出席者からは「国民が安心して医療や介護のサービスを受けられる環境を整えるため、『救急医療』も重視していくことを基本方針に盛り込むべきだ」といった指摘が出されました。 厚生労働省は、24日に部会で出された意見も踏まえ、来月上旬に診療報酬改定の基本方針をまとめることにしています。 NHK NEWS WEB

「脱おむつ」支援の事業者は高報酬に。厚労省が方針

厚生労働省は、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などでおむつをしている入居者がおむつなしで暮らせるように支援する施設事業者に対し、介護報酬を手厚くする方針を固めた。来年度の報酬改定で導入する高齢者の「自立支援」を促す仕組みの具体策だ。 まず、おむつを使う入居者に「ポータブルトイレをベッド脇に置けば自分でできる」などの目標を立てる。そして、実現に向けての支援計画を作り、計画を実施した場合に報酬を加算する方針だ。事業者が加算を得るために入居者に強要することを防ぐため、医者がおむつを外せると判断し、本人が望む場合に加算対象を限定する。 また、デイサービスの自立支援の具体策では、利用者の身体機能が改善して45メートル以上歩けるようになると15点、車椅子で45メートル以上動けるようになると5点など10の機能が一定期間でどれだけ改善したか100点満点で評価する。そして、全施設利用者のうち、機能が改善したか維持された人の割合が一定以上あった場合に報酬を手厚くする。 事業者が改善が見込めないと判断した人の利用を断るのではとの懸念があるため、介護の必要性が高い要介護3以上の人の利用割合を一定以上とする方針だ。(松川希実) 朝日新聞社DIGITAL

月100回超も…訪問介護の使いすぎ、自治体ごと検証へ

厚生労働省は訪問介護の利用回数が多い人たちについて、自治体が設ける専門職らの会議で妥当性を判断する仕組みを導入する方針を固めた。 財務省が月100回以上使っている人がいると問題視し、介護保険で使える利用回数に一律の上限設定を求めているが、生活に必要な人もいるとして個別の事情を考慮できる形にする。 訪問介護はヘルパーが高齢者の家を訪れ、入浴などを手助けする「身体介護」と調理や掃除などをする「生活援助」がある。議論となっているのは主に生活援助の利用回数だ。財務省は要介護1、2の人の利用回数は月10回ほどなのに、月100回以上利用するケースがあり、「効率的なサービスが行われていない可能性がある」と指摘する。 だが厚労省は、認知症で食事や服薬を忘れる人が1日3回以上使うこともあると判断。一律に上限は設けない。代わりに訪問介護の利用平均回数を調査し、上位3~5%ほどの利用回数から「著しく利用が多い」と判断する目安を定め、自治体に通知する。 自治体は、この目安から乱用の可能性があると判断した高齢者について、作業療法士や薬剤師ら多職種が連携してケアプラン(介護計画)の妥当性をチェックする「地域ケア会議」などで検証する。使いすぎと判断した場合は、ほかのサービスやボランティアの利用を促す。来年度の介護報酬改定で導入する方針だ。 厚労省は報酬改定で、ケアプランをつくるケアマネジャーの中立性を高める見直しもする方針だ。ケアマネが勤める居宅介護支援事業所は、大半が訪問介護なども営み、自社のサービスを多くケアプランに入れる「お手盛り」が指摘されてきた。このためサービスの利用先の選定理由と複数の利用先を紹

性的行為求められたことも 利用者のセクハラ、暴力…介護職員51%経験 北海道が初の実態調査

高い離職率の理由の一つ 北海道が、道内の介護施設職員を対象に職場環境に関する実態調査を初めて行ったところ、施設利用者からの暴力や暴言、性的嫌がらせなど「クライアントハラスメント」を受けたことがあるとの回答が半数を超えた。福祉関係者は「介護職員が離職する理由の一つ」と指摘しており、対策が急務となっている。 調査は5、6月、道内30施設で職員計300人に調査票を配布し、181人から回収した。性別は尋ねていない。それによると、ハラスメントを受けたことが「ある」と答えた人は51・9%、現在の業務に負担を「感じている」と答えた人は70・2%に上った。 自由記述欄では実際に体験したハラスメントの内容が記され「胸やお尻を触られた」「性的行為を求められた」などの性的嫌がらせや、「すれ違う時に急にたたかれた」「つばを吐かれた」などの暴力行為が多かった。「バカ、アホ」などの暴言もあった。  かつて在宅ヘルパーをしていた札幌市豊平区の女性(39)は、認知症男性の介助の際、毎回みだらな内容の手紙を渡されたといい「食事介助中に股間を触られた女性ヘルパーもいる。人の目がある施設より、密室になりやすい在宅介護の方が被害が多いのでは」と指摘する。  道の認知症介護指導者として、各地で職員向け研修に携わる特別養護老人ホーム「西野ケアセンター」(札幌市西区)の保坂昌知施設長(58)は、「認知症以外にも、『金を払っているから』『高齢者だから』と、職員の奉仕を当然と考える間違った権利意識がハラスメントを引き起こしている」と語る。また、「がまんを重ねて心を病む職員もおり、夜勤など過酷な労働条件も重なって離職率は

ペットの老後サービス多様化 温泉付き介護ホームも

昨今ペットの高齢化が進んでいる。そして、ペットは老化や病気などで視力や聴力などが落ちても、日頃生活している環境を体で覚えているため、すぐに生活に大きな支障が出るわけではないと、白金高輪動物病院総院長の佐藤貴紀さんは言う。ただ認知症の場合、テーブルや壁にぶつかり、けがをするケースが多くなる。「サークルで囲い、歩く場所を限定する、ぶつかり防止にコーナーガードを活用するなどの対策をするのがおすすめです。また、家具の配置が変わると戸惑うので、部屋の模様替えは極力避けましょう」(佐藤さん) 一方、けがをするまでもなく、老化で脚力が落ち、寝たきりになるケースも増える。その場合、怖いのが床ずれだ。 「床ずれとは、床に当たっている皮膚が摩擦などで擦り剥けること。放っておくと敗血症になり、命の危険も。2時間を目安に寝返りさせてあげるなど、こまめなケアが必要になります」(佐藤さん) 充実サービスのペットホームが急増中 2時間おきの床ずれケアをはじめ、ペットが寝たきりになると、飼い主は片時も目が離せなくなる。しかしそれでは仕事にも行けない。そこで最近は、ペット介護サービスが増えている。ドッグライフプランナーズが運営する「老犬介護ホーム みなかみ温泉 寶(たから)ホテル」もその1つだ。 「老犬をお預かりし、24時間態勢でペット介護士がお世話します。わんちゃんたちが暮らす部屋は畳敷きにし、足腰に負担がないよう工夫しています」(ドッグライフプランナーズ代表・岸良磨さん) ホーム内は天然温泉付き。食事も個別に対応している。費用は、犬種にもより、年間1匹約100万円~と高めだが、こういった充実のサービスを提供

「地域包括ケア」「専門医療提供」、有床診に二つのモデル

厚労省、「入院医療と介護サービスを組み合わせた運営」を検討 厚生労働省は11月17日の中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)に対し、主に地域医療を担う有床診療所は「地域包括ケアモデル」、主に専門医療を担う有床診は「専門医療提供モデル」と位置付け、2018年年度診療報酬改定でそれぞれ評価する案を説明、診療側と支払側からともにおおむね了承を得た。前者については、入院医療と介護サービスを組み合わせて運営することを可能とする方針。 さらに(1)高齢者では入院期間が長期化する傾向にあるものの、2016年度改定で新設された「在宅復帰機能強化加算」の届け出が1割程度にとどまっていることから、要件を見直す、(2)在宅で療養中の患者が、在宅の主治医と有床診との連携の下で、患者本人や家族の希望に基づき、最期を有床診で看取った場合の取り扱いを検討――の2点についても、両側ともおおむね了承した(資料は、厚生労働省のホームページ)。 有床診の数は、2016年と1999年との比較で約半分以下に減少、病床稼働率は最も高い入院基本料1でも67%にとどまる。有床診が現状で担っている機能を分析すると、「専門医療」(51%)、「緊急時対応」(46%)、「在宅・介護施設への受け渡し」(37%)――など(2015年病床機能報告データによる。7項目のうち、最大5項目を選択可とした場合の回答)。主に専門医療を担う診療科(産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科)と、主に地域医療を担う診療科(内科、外科)、双方の機能を持つ診療科(整形外科)に大別できることから、「病床の稼働率を上げるためにも、病床

薬価改定対象を拡大 医療費、最大2900億円削減 政府抜本改革案

政府が年末に取りまとめる薬価制度の抜本改革案が18日、判明した。平成33年度から導入する薬価の毎年改定(現行は2年に1度)の対象薬を、大幅に拡大する。医療費を押し上げている薬価を値下げすることで財源を捻出すると同時に、医療費全体の抑制が見込める。約5割の薬を対象とすると、最大2900億円の医療費削減効果があると試算している。 公的保険で扱われる約2万品目の薬の市場実勢価格は、販売競争などで薬価より安くなるのが一般的だ。 このため厚生労働省は原則2年に1度、全品目の実際の価格を調査して薬価を引き下げ、価格差を解消してきた。ただ、「2年に1度の改定ではその間薬価が高止まりし、医療費や患者負担が増える」との指摘が根強く、政府は昨年末、毎年改定の導入を決めていた。 抜本改革案は、毎年改定の対象となる薬の範囲について「国民負担軽減の観点から、できる限り広くすることが適当である」と明記した。対象の範囲と医療費(うち国費は約4分の1)への影響を試算したところ、全品目のうち、薬価と市場実勢価格の差が大きい上位約2割を引き下げ対象とした場合は500億~800億円▽約3割では750億~1100億円▽約4割では1200億~1800億円▽約5割では1900億~2900億円-の削減効果があると分かった。 30、32年度は通常の引き下げ、31年度は消費税率の10%への引き上げに伴う臨時の全品目を対象とする薬価改定を予定しており、33年度が初めての毎年改定の年になる。抜本改革案は「30~32年度の間の市場実勢価格の推移などを把握した上で32年中に具体的な範囲を決定する」と記す。 このほか、画期的な新薬に高い

介護離職の抑制、法改正で環境整備が進むも管理職の介護休業利用率は2.7%どまり

高齢者人口の増加で介護を理由にした離職者が増えている。特に働き盛り世代の介護者は、企業の中核を担う管理職として活躍しているケースも多く、介護による離職は社会にとっても大きな損失となる。そこで政府は「介護離職ゼロ」を推進し、必要な介護サービスの確保と、働く環境改善・家族支援を両輪として取り組んでいる。 現在、介護者が介護休業を取得すると、介護休業開始日前の2年間に一定の勤務日数がある月が12カ月以上あるなど、所定の条件を満たせば「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」の介護休業給付が受け取れる。その根拠になっている「育児・介護休業法」が改正され、1月から介護休業が取得しやすくなった。 改正では、介護の対象家族1名につき通算93日取得可能な介護休業を、3回を上限として分割して取得できるようになったほか、半日単位の取得も可能になった。また、介護休業の範囲内でしか取得できなかったフレックスタイム制度や始業・終業時刻の繰上げ・繰下げなどの所定労働時間の短縮措置が、介護休業とは別に利用が可能になるなど、介護休業を取りやすい環境が整備された。さらに10月からは、職場で介護を理由とした解雇や降格、減給などの不利益な取り扱いが生じないよう、事業所に防止措置義務が新たに加わった。 このような環境整備が進む中、アデコ株式会社は、家族の介護経験がある管理職600名を対象に、「介護と仕事の両立」についてアンケート調査を実施し、その結果を11月8日に発表した。調査時期は10月。 介護を理由に会社を休んだことがあるか聞いたところ、67.0%の管理職が「ある」と回答した。そこで、会社を休んだ際に利用した休暇制

「母の介護」に一切協力しない姉2人、同居する息子が苦悩…法的義務はないの?

親の介護が必要になったとき、誰が親の介護をするのかを巡ってきょうだい間でトラブルになることも多いようです。弁護士ドットコムの法律相談コーナーにも、「姉二人が母親の介護を拒絶して困っている」といった相談が寄せられています。 相談者の男性は、実家を建て直して母と妻と3人で暮らしていますが、母が妻の言うことを聞かずに困っているそうです。経済的な負担も全て男性が負っているといますが、姉2人は経済的な負担や母を泊めてくれといったお願いも拒み、電話にも一切出ません。 男性は、「私を含め姉二人は母を見る義務があると思います」と訴えています。子どもには親の面倒を見るという法的な義務はあるのでしょうか。また、きょうだいが協力してくれない場合には、どうしたら良いのでしょうか。小田紗織弁護士に聞きました。 揉めたら家庭裁判所で調停や審判を 親の面倒を見なければならないという法的な義務はあるのでしょうか。 「親の面倒を見ることに関して、民法877条1項に『直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある』と定められ、民法879条に『扶養の程度又は方法について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、扶養権利者の需要、扶養義務者の資力その他一切に事情を考慮して、家庭裁判所が、これを定める』とあります」 親族内で揉めた場合には、家庭裁判所で決めることになるのですね。 「はい。他の兄弟姉妹に親との同居や費用の負担を求めたいのであれば、家庭裁判所に扶養義務の設定の調停や審判を申立てる方法があります。 過去の審判例としても、子ども7人全員が老母の引取りを嫌がり、子の1人が他の兄弟姉妹

「患者協働」の医療実現を

病気の治療は、方法やスケジュールなどの方針を医師が提案し、患者がそれに同意する-という流れが一般的。それに対し、患者も積極的に自分の希望を伝えて、医療チームの一員として方針を決めることに関わる「患者協働」という新しい考え方がある。 現在の「患者中心」の医療とはどう違うのか、協働へと変えるにはどうすればいいのか。十月に東京都内で開かれたイベント「いまこそ、患者協働の医療の実現を!」では、患者と医療者が意見を述べ合った。 「日本の医療を考えるとき『患者中心』という言葉をよく聞くが、私は少し違和感を覚えている」。イベントの冒頭、主催した「患医ねっと」(東京)代表の鈴木信行さん(48)は、こう問題提起した。 生まれつき障害のある鈴木さんは現在も難治性のがんを患っている。長年、医療の恩恵を受けてきたが、医師側に自分の意思を伝える難しさも感じてきた。例えば、仕事のスケジュールとの調整を望んでいても、医師との間に心の壁があって伝えることはなかなかできない。その理由が「患者中心」の医療にあると気付いたという。 これまで患者は「中心」に置かれていても、いざ治療方針を決める段階になると、「同意」という形はとっても、医師の提案を受け入れることが基本だった。 それに対し、患者自身が「自分はどう生きたいか」を軸に、医師らと共に疾患に向き合う姿勢が大切だと気付いた。そのためには「患者ももっとやれることがあるし、医療者にももっと、やるべきことがあるだろう」と問い掛けた。 ともに主催した株式会社「ペイシェントフッド」(同)代表の宿野部(しゅくのべ)武志さん(49)は三歳で慢性腎炎になり、十八歳から人工透析を続

「生かし続けるのはかわいそう」終末期医療で進む「自然な看取り」の実情

高齢化に伴う「多死社会」を迎え、終末期医療に関する議論が活発化している。自らの意思を明らかにしたい。自然に逝きたい。体制整備が始まっている。 東京都世田谷区にある特別養護老人ホーム「芦花ホーム」 東京都世田谷区にある特別養護老人ホーム「芦花ホーム」に足を運んだ。入所者の平均年齢は約90歳。9割は認知症。入所者約100人のうち、1年間で3~4割はホームで亡くなるか、病院に運ばれる。  常勤配置医の石飛(いしとび)幸三さん(82)は2005年に初めてホームを訪れ、胃ろうや経鼻胃管から経管栄養を受ける16人の姿にショックを受けた。一日でも長く生きてほしい。家族の思いは理解できる。ただ、寝たきりで寝返りも打てず、ほとんど話すこともできない。管につながれ自分の現状すら認識できない状態は、彼らの本意なのか。  着任して間もない頃、考えを変えるきっかけになった夫婦に出会った。認知症の80代の妻が誤嚥性(ごえんせい)肺炎になり、提携先の病院に入院した。「胃ろうをつけるしかない」と話す病院の医師に向かって8歳年下の夫は、 「自分のこともわからなくなった女房を胃ろうで生かし続けるなんて、かわいそうでできない」  医師は「餓死させることになる。保護責任が問われる」と迫ったが、夫は頑として聞かなかった。石飛さんが「責任はとる」とホームへ連れ帰った。  ホームに戻ってからは、夫が自ら食事の介助をした。朝は無理に起こさない。食べ物を欲しがらなければ、無理に食べさせない。1年半後、ついに何も食べなくなった。眠る時間が長くなり、ホームで最期を迎えた。  石飛さんは言う。 「食べないから

介護保険の利用者・家族が一番不安なのは「費用負担に関すること」

株式会社エス・エム・エス(代表取締役社長:後藤夏樹、東証一部、以下「当社」)は、11月11日の「介護の日」に合わせ、当社が運営するケアマネジャー向けコミュニティサイト「ケアマネドットコム」にて、「ケアマネジャーが利用者や家族からよく聞かれること」、「利用者や家族が事前に知っておいたほうが良いこと」に関する調査を実施しました。 超高齢社会に突入した日本において、要介護(要支援)認定者数は600万人を超え(厚生労働省「介護保険事業状況報告」より)、介護保険サービスを利用する人が増加しています。しかし突然介護に直面することになった利用者や家族にとってはわからないことが多く、ケアマネジャー(以下「ケアマネ」)に多くの質問が寄せられています。実際に初めて介護保険サービスを利用する利用者や家族からどんなことをよく聞かれているのか、またどんなことを事前に知っておいたほうが良いと考えているかについて、554名のケアマネから回答をいただきましたので、その結果をご報告します。 調査サマリー 初めて介護保険サービスを利用する利用者や家族からよく聞かれることは以下のとおりとなった 1位 費用・お金に関すること(77%)    そのうち、95%が介護保険サービス料、利用者負担割合に関することと回答 2位 在宅介護に関すること(61%)    そのうち、88%が在宅介護サービスの種類や選び方、サービス内容に関することと回答 3位 介護保険制度に関すること(54%)    そのうち、80%が介護認定に関することと回答 ケアマネとして、利用者や家族が事前に知っておいたほうが良いと思うことは以下の

介護のアイドルによる、介護のためのダンス「プラスダンス(DVD)」発売

世界ゆるスポーツ協会は、「スマート介護」と協業し、本日より発売のコラボDVD「プラスダンス」をプロデュースしました。 一般社団法人 世界ゆるスポーツ協会(代表 澤田智洋、本社 東京都中央区、以下 世界ゆるスポーツ協会)は、プラス株式会社(代表取締役社長 今泉公二、本社 東京都港区、以下 プラス)が提供する介護福祉施設向けデリバリーサービス 「スマート介護」と協業し、その第一弾となるコラボDVD「プラスダンス」をプロデュースいたしました。 「プラスダンス」は「スマート介護」より、11月13日発売開始となります。 「プラスダンス」は、介護福祉施設やデイサービスを利用される皆様がご家族と一緒に楽しく参加でき、誰でも歌って踊れて、いつのまにかプラス思考になれるダンスです。当協会の代表 澤田 智洋が歌と振り付けをプロデュースし、親しみやすいメロディと動きはすぐに覚えられ、座りながらでも、また車椅子でもできるのが特長です。DVDには、デイサービスを運営しレクリエーション介護士講師でもある介護のスペシャリスト若山 克彦氏(介護のお兄さん)と、介護福祉士として働きながらモデルとしても活躍する上条 百合奈氏(介護のお姉さん)による歌と踊りが収録され、振り付けカードもついています。 当協会代表の澤田 智洋は、次のように述べています。 「『プラスダンス』は、『ゆるダンス』という、年齢制限のない、そしてダンスの中でもこれまでにない新たなジャンルへの挑戦です。撮影の際には、104歳の方が楽しそうに踊っていたのが印象的です。今後も幅広い年齢の方が楽しく、健康的になれるエンターテインメントを開発し

ニチイ学館、医療・介護分野でNECと業務提携

ニチイ学館とNECは11月10日、医療・介護分野における業務提携に合意したと発表した。第一弾として人工知能(AI)を活用した高齢者の介護・自立支援サービス開発に向けた共同研究を開始する。 具体的には、ケアマネージャーが人手で行っていた個々の高齢者に合ったケアプランの作成を、NECの異種混合学習技術を用いて効率化する。同技術によって高齢者のさまざまなデータを学習・分析し、自立に適切と思われるケアプラン案を提案できるようにする。 異種混合学習技術は、多種多様なデータの中から規則性を高精度かつ自動で発見し、その規則に基づいて、状況に応じた最適な予測を行う技術で、NECのAI技術群「NEC the WISE」の一つ。 要介護者に対する入浴介助・通院介助などの身体介護、調理・掃除などの生活支援に向けた従来のケアプランに加え、AIによる根拠をもとに、要介護者のより効率的な運動機能改善などを促す新しいケアプランを作成する。これにより、介護事業者におけるケアマネジャーなどの現場スタッフの負担を軽減するとともに、より効果の高いケアプランを作成できる人材育成の実現を目指していく。 ZDNet Japan

ダイハツ、介護支援新事業 送迎計画作成システム販売

ダイハツ工業は13日、通所介護(デイサービス)施設の利用者送迎業務を支援するシステムを開発したと発表した。 ダイハツ工業が改良した軽福祉車両「アトレー スローパー」=13日、東京都千代田区(臼井慎太郎撮影) 介護事業大手のSOMPOケアネクスト(東京都品川区)の一部介護施設で夏から実証試験を進めており、来年度中の販売を目指す。ダイハツの軽自動車とのセット販売も検討し、福祉事業の拡大につなげる考えだ。 ダイハツが開発した「らくぴた送迎」を介護施設が導入すれば、パソコンで利用客の基本情報を入力するだけで送迎計画を自動作成できる。従来1時間かかっていた作成時間が約15分に短縮されるという。 らくぴた送迎は、送迎先の自宅ごとに到着と出発の時間を算出。最終的に介護施設に戻る時間も表示する。運転手は専用スマートフォンで時間を確認可能で、送迎のキャンセルが出れば、「送迎スケジュールを確認してください」といった音声通知が流れる。 ダイハツは約1万3800台が販売される軽福祉車両市場で約5割のトップシェアを握っている。平成28年度実績は前年度比約1割減の6697台だったが、松林淳(すなお)取締役は記者会見で、「モノとサービスをセットで提供することで軽自動車を広げたい」と市場のてこ入れに意欲を示した。 また、軽商用車「ハイゼット カーゴ」と軽乗用車「アトレー ワゴン」を一部改良し、13日発売。歩行者を認識して衝突を回避する自動ブレーキなどを搭載し、両車両がベースの車いす移動車などにも採用した。 産経ニュース

湘南慶育病院とNEC,先進的な医療ICTサービスで協業,新病院で「クラウド型問診サービス」を提供開始

医療法人社団 健育会 湘南慶育病院(以下 湘南慶育病院)と日本電気(株)(以下 NEC)は,湘南慶育病院が掲げる地域住民の健康に深く寄り添い,自宅でも病院の診察室のような環境を提供するコンセプト「Hospital in the Home」の実現に向けて,先進的な医療ICTサービスの提供において協業する。 クラウド型問診サービス 入力イメージ 第一弾として,2017年11月6日の湘南慶育病院の開院に合わせて来院患者に対する「クラウド型問診サービス」を提供開始する。 湘南慶育病院は,官民一体となったまちづくりを推進する神奈川県藤沢市のマスタープラン「健康と文化の森」構想(※)の中核病院として位置づけられ,藤沢市の地域住民の健康を守る拠点として,開院する。 また,湘南慶育病院は,慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパスと連携し,大学と密に連携する日本で初めての民間病院として,産学連携にも力を入れていく。 高齢化,核家族化が進行し,独居世帯が社会問題化している中,在宅時における遠隔医療や健康相談サービスなど地域住民のために先進的な医療ICTサービスを提供していく予定。 NECの「クラウド型問診サービス」は来院患者の自覚症状や生活歴,既往歴などの問診情報を診察前にタブレット端末から入力して,患者から適切に情報収集する。これにより,医師や看護師が患者の健康状態を把握した上で診察することが可能となる。さらには,電子カルテと連携することで,医師の診療記事作成など,業務効率化を支援する。 医療法人社団 健育会 湘南慶育病院(所在地:神奈川県藤沢市 2017年11月6日開院予定) 今後両者は,来院患者を

日本の医療にイノベーションが必要な理由

「体調が悪くても、医者がなんとかしてくれる」。そう考える人たちは少なからずいる。日本では、近所のかかりつけ医にちょっとした不調もすぐに診察してもらい、薬を処方してもらえるのが現状だ。このまま気軽に、すぐに病院で診察してもらえる時代は続くのか。財政危機が叫ばれる中で医療においてどんな変革が必要なのか。 そこで、『医療危機――高齢社会とイノベーション』(中公新書)を上梓した多摩大学大学院教授で、医療経済・経営が専門の真野俊樹氏に変わりゆく各国の医療の実態や今後の日本の医療について話を聞いた。 ――日本の医療にイノベーションが必要な理由とは? 『医療危機―高齢社会とイノベーション』(真野俊樹、中央公論新社 真野:現在、日本の社会保障費は、諸外国と比べ潤沢です。ただし、高齢者の増加や医療技術の進歩により、医療費は毎年数千億円から1兆円も増加しています。 一方で、日本の医療は、医師に対し不信感を抱いている患者さんもいますが、OECD加盟国の大腸がんの5年生存率や、その他の国際研究を見ても、世界でもトップクラスです。 しかし、現状の高額化する医療費や日本の財政危機を考えたとき、現在の医療を維持するためには、医療を提供する側である医師や看護師、病院側は、無駄のない、効率的な医療を提供しなくてはならないでしょう。 そのために医療提供側が産業的な、またイノベーションという視点を持たないと、今後、日本の医療は持続できないのではないかと考えています。 ――今回の本では、さまざまな国の事例を取り上げていますが、なかでもアメリカについては多くページが割かれています。アメリカの医療を取り上げた理由は? 真

厚労省、訪問介護の集合住宅減算の対象を拡大へ 減算幅の引き上げも

社保審・介護給付費分科会 1日 厚生労働省は1日の社会保障審議会・介護給付費分科会で、訪問介護の集合住宅にかかる減算を来年度から拡大する方針を示した。 現行では有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などに限定しているが、これら以外の一般の集合住宅も新たに対象に加える。移動にかかる時間やコストを勘案すると効率化できるのではないか、と説明した。 今の減算は (1)事業所と同一の敷地内、または隣接する敷地内にある建物で暮らす利用者にサービスを提供する (2)事業所と同一の敷地内、または隣接する敷地内の建物でなくても、そこに住む利用者が月20人以上いる場合に適用される。減算幅は10%。いずれも有料老人ホーム、サ高住、養護老人ホーム、軽費老人ホームのみを想定しており、一般の集合住宅は除外されている。 厚労省は今回、それぞれ変更する考えも明らかにした (1)については、有料老人ホームやサ高住なら10人以上、それ以外なら20人以上で10%から引き上げるという。 (2)については、有料老人ホームやサ高住なら10人以上で適用し、それ以外は現行と同じ20人以上にとどめる考えだ。 こうした一連の見直しは、訪問入浴介護や訪問看護、訪問リハビリテーション、夜間対応型訪問介護でも実施される。厚労省は今後さらに調整を重ね、年内に正式に決める予定。 JOINT