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2018年度 同時報酬改定 複数サービス、柔軟に提供

 通称「看多機(かんたき)」

中重度者支える「看多機」 難しい人材確保

認知症や中重度の要介護高齢者が、住み慣れた地域で生活できる介護保険サービスとして注目されているのが「看護小規模多機能型居宅介護」。通称「看多機(かんたき)」だ。訪問看護だけでなく「通い」「泊まり」など複数のサービスを柔軟に組み合わせて使え、医療的なケアが必要な人にも対応できる。しかし看護師など人材確保が難しく、広がっていない。

 川崎市の住宅街にある民家風の看多機「ナーシングホーム岡上」。政夫さん(仮名、74歳)は個室のベッドに横になり、胃に穴を開けて管で栄養を送る「胃ろう」で昼食をとりながら読書していた。政夫さんの要介護度は最も重い「5」。脳梗塞(こうそく)の後遺症で半身にまひがあり、糖尿病のためインスリン投与も必要だ。腎不全で人工透析のため週3日通院もしている。 

 妻(68)と2人暮らし。政夫さんは約3年前に1年間、脳梗塞で入院。退院後は自宅での暮らしを強く望んだ。妻が介助を担い、妻の仕事がある週3日はホームへ通い日中を過ごす。宿泊は月2回、自宅への訪問看護も月1回利用し妻の負担減を図る。「やっぱり自宅はいい。ホームは家みたいな雰囲気。職員との会話も楽しい」  ホームの定員は29人で利用者の平均要介護度は3・7。退院直後の人が自宅に戻る前に一時利用したり、体調や家族の事情にあわせて急きょ宿泊を利用したりするなど融通が利き、みとりにも対応する。デイサービスなどでは、人工呼吸器や胃ろうなど医療的ケアの必要度が高い人について対応できない場合もある。  看多機は、「訪問介護」「通い」「泊まり」のサービスを備え2006年に始まった「小規模多機能型居宅介護(小多機)」に「訪問看護」を加えたサービスだ。12年に「複合型サービス」としてスタート、15年度に名称を変更した。看多機の基本的な月額利用料は要介護度ごとに定額で、1割負担だと1万2341円(要介護1)~3万1141円(同5)となる。  ただ看多機の昨年10月時点の事業所数は全国で330カ所にとどまる。看多機の4割は「小規模多機能型居宅介護」から、3割は「訪問看護ステーション」からの移行組。「ホーム」を運営する看護師の林田菜緒美さんは「訪問看護だけで患者さんを地域で支えるのは限界だと感じて始めた。看多機は、利用者や介護家族のメリットも大きく、地域生活を支える要になる」と話す。  課題は「泊まり」「通い」を受け入れる事業所の整備と効率的な運営、看護師の人材確保。横浜市では17年度中に21カ所の整備を計画したが、14カ所にとどまる見通し。担当者は「看護師不足で事業者から手が挙がらない」と話す。日本看護協会の斎藤訓子副会長は「看護職員の8割は病院や診療所で働く。在宅に関わる看護師の育成が必要だ。また看護師を基準より手厚くして医療依存度の高い人のケアをする事業所を報酬で評価することも求められる」と指摘する。 

地域密着型、国は増設方針 看護師配置基準、議論へ

 「地域密着型サービス」は、「小多機」「看多機」のほか、24時間対応の「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」▽認知症のグループホーム▽29人以下の小規模特別養護老人ホーム--などがある。  地域のニーズに合わせ、市区町村が事業者を指定し、指定基準や介護報酬も実情に合わせて設定することができる。原則として、その市区町村に住む人だけが利用できる。  国は今後、地域で暮らす中重度者を支えるため、地域密着型サービスをさらに増やしたい考えだ。しかし、小多機が全国で4984カ所(昨年4月時点)なのに比べると、看多機は看護職員の確保が必要なこともあってその10分の1にも満たない。また市区町村への周知も十分でないことや、経営の難しさも背景にあるようだ。  同時改定の議論では、看護師などの配置基準や人員確保のあり方について検討される見込み。また、看多機については、みとりまでの対応の評価についても議論されそうだ。 

出典 毎日新聞 2017/07/05

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