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アメリカの医療費問題を探り出せ。そもそもいったい何が原因なのか?

あちらを立てればこちらが立たず。アメリカの医療費問題は一筋縄ではいかないようだ。国民の9割以上が公的医療保険に加入することを目指し2010年に成立した医療保険制度改革 オバマケアだが、高額な保険料に苦しめられるものも多かった。大統領が変わったことで医療費制度の見直しがされたが、それでもまだ問題は山積しているようだ。

アメリカの高額な医療費問題についての特集がなされていた。そもそもいったい何が原因なのか? 病院により異なる医療費  2016年9月28日、エロディー・フォウラーちゃんという3歳の少女が米カリフォルニア州の病院でMRIによる検査を受けた。体の右側を腫れさせ、食事を困難にさせている珍しい遺伝性の症状の原因を診断するためだった。  両親は事前に小児科のMRI検査について調べていたので、ある程度の出費になるであろうことは予想していた。  だが、彼らは請求書に記載されていたおよそ25,000ドル(約250万円、100円/ドルで計算)という金額に仰天する。そこには麻酔(約40万円)、術後室使用料(27万円)、 MRI使用料(160万円)に加えて、診察料が含まれていた。保険の適用はたった15万円程度で、差額の240万円近い額を支払わねばならなくなった。  アニーさんは事前にざっと調べてもいたし、CTやら超音波やらの検査を受けたこともあったので、2、30万はするだろうと考えていた。他のカリフォルニアの病院ならそれより少し安い程度だ。だが保険会社の考える”適正価格”と病院の考える”適正価格”にはとんでもない隔たりがあったのだ。  病院側はこれについて、MRIのようなルーチン作業的診断でも使用コストは大きく異なると主張する。例えば、技師の質、地域の平均的な賃金、不動産価格など、諸々の要素によって医療費は影響を受けるのだという。 医療費の負債がアメリカで起きる破産の主要な原因  こうした話は山のようにある。とにかくアメリカの医療費は高い。  アメリカでのMRIの平均使用料は11万1900円だ。これがスイスなら5万300円、オーストラリアなら2万1500円だ。アメリカでは何しろ傷テープを貼っただけでも6万円、出産後に赤ちゃんを抱くだけでも4000円取られることもあるのだ。これはこの国の医療制度の機能不全を理解する手がかりだ。高い医療費がアメリカ人世帯の家計を圧迫する。実は医療費の負債は米国で起きる破産の主要な原因でもある。 適正価格がわからず医療費の予測が難しい  アニーさんの事例が示すように、アメリカの医療費は高いばかりでなく、予測が難しい。診察室に入った時点あるいは出た後でさえもでいくら請求されるかほとんど分からない。治療費は病院の壁に貼ってあるわけでもないし、サイトに掲載されているわけでもない。

 こうした高額な医療費についてはオバマケアでも取り組まれなかったし、共和党の政策でも対象となっていない。 高すぎるゆえ利用者が少なくサービスが向上しない  2003年、ある高名な経済学者のチームが、アメリカの医療制度の主要な問題は価格であると主張する論文を発表した。そのタイトルは「It’s the Prices, Stupid(悪いのは価格)」である。  要点はこうだ。「医療費の高さが医療サービスの利用を低下させ、それがさらにOECD諸国でも突出して医療費を高騰させる」のだ。

 飲食店などと似た部分がある。おいしい飲食店はお客がたくさんくる。たくさんくるから新鮮で良い材料を安く仕入れ提供することができる。そうすることでさらに多くのお客がやってきて繁盛するというやつだ。  これはジョンズ・ホプキンス大学のジェラード・アンダーソン氏が書いた14年前の論文である。その後オバマケアによって請求される額が下がり利用しやすくなったが、実際の単価は下がっていないのだという。更にオバマ政権が終わったことで、価格の上昇が加速しているという。  一方、不必要な医療の濫用が問題であると指摘する意見もある。627人の医師が行ったアンケートによると、42パーセントの患者が過剰な医療を受けていると考えていると回答したそうだ。この調査だけみると、アメリカの医療費が高いのは、あらゆる最新の医療を利用しているためだという結論も導き出される。

だが実際のデータはこの説を支持しない。非営利団体コモンウェルスファンドのデータによれば、アメリカ人が医者にかかる回数は年に平均4回だ。ところがオランダなら8回、ドイツなら9.9回だ。日本になれば12.8回とほぼ3倍も頻繁に病院に通っている。かといってアメリカの1回の診察時間が長いかというと、決してそうではない。  やはり犯人は病院に行きすぎなのではなく、病院に行くたびに法外な医療費を請求されることであるようだ。 救急処置室使用料の高さ  その問題をはっきり確かめるには一般的な治療費である救急処置室使用料を見ればいい。これは救急処置室で提供されるサービスの料金として請求されるものだ。  病院側はここには24時間年中無休の受け入れ態勢を維持するためのコストが含まれると主張する。また特に容体が悪い患者が来るのが常であるから、そのための備えも必要になる。足を刺された人にも、心臓発作を起こした人にも、銃で撃たれた人にも、あらゆる患者に対応できなければならないのだ。  確かにある程度は納得できるコストも含まれているだろう。だが救急処置室使用料を見つめていると、そうした主張には医療費を決定する病院側の能力が加味されていないことに気がつく。  例えば、昨年ある患者が受け取った請求書には6万2900円と記載されていた。実はこの患者はまだ1歳で、指に傷テープを貼っただけで終わっている。内訳はバンドエイドは700円ほどだが、使用料に6万2200円かかっている。

これについてカリフォルニア大学サンフランシスコ校のルネ・シャ教授は、実際に受けた治療にかかわらず使用料は発生するものだが、バンドエイドとの金額の対比を見た父親は「クレイジー!」と思ったことだろうとコメントする。 料金が公開されていない緊急処置室使用料  あるジャーナリストがポッドキャストのリスナーに呼びかけて請求書を送ってもらったことがあった。そこに記載されていた救急処置室使用料は5万3300円~31万7000円まで差があった。最も高額なのはサンフランシスコ総合病院の救急処置室で治療を受けた患者のものだ。  その患者はバイクで事故を起こし、結婚指輪をはめていた薬指に酷いアザを負った際、警察に病院に連れていかれ、30分ほどの処置で31万7000円を請求されたのだ。  一番安い5万3300円という使用料でも人によってはかなりの負担だろう。また病院は使用料を公開していないため、いくらかかるのかどうか予測することも難しい。 アメリカの医療費に関する問題点  オバマケアの患者保護並びに医療費負担適正化法(ACA)は保険の適用範囲を大幅に拡大し、より公正な保険市場を創出した。  だが医療費の単価については何も取り組んでいない。  ACAはアメリカ人の医療費の支払いを分担する当事者を増やした(医療費補助制度や民間保険会社)という意味では、それを手頃なものにした。  しかし医療費の請求額自体は減っていない。

アメリカで単一支払者制度を作り上げるのは、高い医療費のせいで、世界のいかなる国よりも金のかかる取り組みになるだろう。各医療サービスにほかに例を見ないほど高いお金を支払わなければならないとなれば、国民全員がサービスを利用するというわけにはいかなくなる。  ところがアンダーソン氏によると、医療費の値下げを支持する人はほとんどいないのだという。安いほうがいいと言っておきながら、それと引き換えに何かを失うことには耐えられないのだ。患者は自分が健康な時には安く、病気になったら医療費を上げてあらゆる選択肢を確保したいと言っているようなものだ。  医療費はある程度の政府の介入がなければ下がらないだろう。それはまず透明性の点からつつかれるかも知れない。エロディーちゃんの家族は、MRI検査を受けた病院であれほどまで高額の請求がされると分かっていれば、別の病院にかかったと話している。  それでも調べた限りで最も安かった病院ですら77万円程度だ。しかもここに麻酔など、諸々の金額が加算されるのである。一方、5万~10万円の請求書を支払うだけの貯金があると回答するアメリカ人はたったの37パーセントのみだ。  トランプ大統領は当初医療費の調整に関心を示していた。しかし共和党は医療費削減ではなく、政府の医療費への支出削減を行う法案を提出した。削減された分は患者に渡される請求書に回される。

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