年金75歳時代 「高級老人ホーム」から下流介護難民への転落も

September 5, 2017

政府は年金の受給開始年齢を75歳に引き上げることを検討しているという。もしそれが現実になれば、75歳で年金受給にたどり着いたら、すぐに「終の棲家」たる老人ホーム選びが迫ってくる。

 

入居年齢で一番多いのは80代前半だが、どれだけの金融資産があるかで、“天国と地獄”の差が付く。

「待機老人50万人」といわれる特別養護老人ホームで「多床型」なら月額8万円台だが、個室の民間有料老人ホームになると一般的に300万円程度の入居一時金がかかる上に、月額20万円以上の負担が生じる。

 

「これまでは65歳の年金受給時に2500万円くらいを貯めておけばハッピーな最後を迎えられるといわれていました。ホームの入居一時金は年齢が上がるほど安くなる。生活費を切り詰めて貯蓄をできる限り温存し、80代前半で2000万円があれば、入居金1000万円、年金を合わせて月額30万~35万円の介護付き『高級老人ホーム』を選ぶことができました」

 部屋はトイレ付きの個室で食事は和食と洋食を選ぶことができ、看護師が常駐といったグレードだ。

 

75歳受給時代になると景色は一変する。年金がないのだから、“貯蓄をできる限り80代まで温存”という前提が難しくなる。無理をして入居一時金を捻出しても、「高級ホームの月額利用料を年金だけでは賄えない。蓄えが尽き、支払いが滞れば規定により退去させられるケースもある」のだ。かといって80代で貯金はゼロ、毎月の年金収入だけという状況で入れる施設を選んでも、理想の老後とはほど遠いというほかない。

 

「民間でも入居一時金ゼロ、月額13万円前後のホームはありますが、病院の4人部屋のような居室で、仕切りのカーテンがないような施設もあります。ケアの方法でも、決められた時間に一斉にトイレ介助、おむつ交換になるところもある」

 

 要介護3以上であれば多床型の特養を希望できるが、やはり現実は厳しい。

「待機待ちを覚悟する必要がありますし、その間は短期間しか入所できないリハビリに特化した施設を転々とすることになりかねない」

 

 至れり尽くせりの高級ホームから、いつ入居できるかわからない特養の待機待ちへ、という落差は大きい。

 

※週刊ポスト2017年9月8日号

Share on Facebook
Share on Twitter
Please reload

特集記事

⽼⼈ホーム紹介事業で、株式会社早稲⽥エルダリーヘルス事業団と提携

November 16, 2018

1/2
Please reload

最新記事
Please reload

アーカイブ
Please reload

タグから検索